宣教師のフィンランド便り3

皆様、お元気ですか?こちらは、家の裏の森にブルーベリーが沢山実っていて、森の小道を通って買い物に行く途中、いつも摘まんでは食べています。

 今回は、7月1日から3日にかけて、フィンランド中部の町ヴィッラトで開催されたSLEY(フィンランド・ルター派福音協会)の全国大会についての報告です。ヴィッラトはトゥルクから250キロほど行ったところにある、人口7,000人程の町ですが、三日間の大会参加者数は延べ1万4,000人に上り、大会開催中の町の人口は2、3倍に膨れ上がりました。大会会場は、町の真ん中にあるヴィッラト教会と教会前の広場を中心に、周辺の小中学校、職業学校がいろいろなイベントの会場になりました。全体集会は教会前の広場で行われ、上の写真は夕刻の野外の聖餐式礼拝の様子です。

SLEYの全国大会は1874年に始まり、今年で142回目となります。開催地は、毎年異なります。SLEYとは、フィンランドのルター派国教会の「公認」のミッション団体の一つで、1900年日本に宣教師を派遣したのを皮切りに、現在ではロシア、エストニア、ケニア、南スーダンにも派遣しています。このほかにも宣教師は派遣していないが、財政支援、神学教育支援等で協力関係にあるルター派教会がミャンマーや韓国等数カ国あります。SLEYと国教会の間にはいろいろ路線対立があるのですが、一応協力関係は保たれ、公認の地位を得ているといったところです。

 今年の全国大会で特筆すべきことは、昨年フィンランドに移民難民が3万人以上押寄せたことの影響が顕著に現れたことでした。国教会ラプア監督区のS.ぺウラ監督が全体集会で述べたように、今や福音伝道のミッションは海外だけではなく、国内もミッションの地と化した、福音伝道に国境がなくなってしまった、ということが起きたのです。フィンランドの片田舎で礼拝に20人位しか参加しない小さな教会に突然、40~50人のイスラム教徒難民が姿をあらわしたこともあったそうです。教会は彼らにどう対応し、何をどう伝えるか、各ミッション団体を含め国教会全体が真剣に取り組んでいます。SLEYもヘルシンキの移民難民向けミッションのため、「ルター教会」(フィンランド便り2を参照)に専属の「宣教師」を設けることとし、その職にアフリカ出身の牧師が就任することになりました。

 上の2枚の写真は、夕刻の野外の聖餐式礼拝の一コマ。礼拝と言っても、最近は司式の音楽に軽快なポップ調のものが用いられるようになり、このような女の子たちのコーラスがバンドと一緒に司式の音楽をリードします。次の写真は聖餐式の様子。6,000人近い人たちにパンと葡萄酒の配餐をするために、30人近い牧師が動員されます。

 全体集会のプログラムの合間や同時並行して、教会や周辺の学校の中で、または湖畔の公園で、年齢層に応じた様々なブログラムやイベントが開かれます。金曜日と土曜日の夜は、若者向けのゴスペル・ロックのコンサートが開かれます。上の写真はその一コマ。CDで聴くと福音のメッセージははっきりわかるのですが、コンサートの激しい騒音と歓声の中では、「…..イエスの愛が俺の利己主義の壁を突き破った瞬間….」とか、「….十字架が罪の負債を帳消しにした、俺は本当に自由だ….」とか、断片的に聞き取れるのが精一杯でした。

私が参加したプログラムの一つに、教会を会場にして行われた講演会があります。論題は「キリスト教の『三位一体説』は、ユダヤ教イスラム教からみると、なぜ気違いじみた教えに見えるのか?」という挑発的なもの。講演者は、オーボアカデミー大学神学部の旧約聖書・ユダヤ教学のA.ラート教授とP.リンドクヴィスト講師。二人は昨年の全国大会の講演でも、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教という世界三大一神教の比較をテーマにして会場を満員にしました。今年も満員でしたが、驚いたのは年配の方の参加が多く見られたことです。イスラム教の存在を身近に感じ、どう対応しなければならないかを真剣に考えているのは若者層だけではないことを窺わせました。

3日の日曜日は朝から雨が降り、野外の全体集会の成否が危ぶまれましたが、午前の聖餐式礼拝の初めころにはやんで、あとに続くプログラムでは時々太陽も顔を出すくらいになりました。その日の降水確率は90%の予報が出ていたのですが、父なるみ神は参加者みんなの祈りを聞き遂げて、10%の方を実現してくださいました。下の写真は、聖餐式礼拝の始まりの様子。聖餐式を担当する40人近い牧師たちが十字架を先頭にして聖壇前に進みます。会衆は敬意を表して起立します(今年招待されたミャンマーや韓国のルター派教会の牧師も聖餐式を担当しました)

 全国大会最大のイベントの一つは、宣教師の派遣の按手式です。下の写真は今年派遣の按手を受ける宣教師たち。先頭にいるアフリカ人牧師はヘルシンキの「ルター教会」専属の移民難民宣教師に就任するR.O.オティソ牧師です。今年新規に派遣される宣教師が3人、派遣更新された宣教師は9人でした。

 

日本派遣宣教師は、吉村の家族を含めて6名。下の写真は聖壇前に向かう吉村宣教師一家。

下の写真は、按手式を前に子供たちが派遣国の旗を振って見送りの歌を合唱しているところ。

 宣教師の派遣式のあとも全体集会は続きます。上の写真は、スオミ教会の活動について報告するパイヴィ宣教師。

人口7,000人程の町に1万4,000人の人が押し寄せて、食事や宿泊はどうなるか驚かれるかもしれません。宿泊は町や近隣のあらゆる宿泊施設やキャンプ施設、自宅を開放する民家の他に、周りの学校が臨時の宿泊所になったり、キャンピング・カー用の大駐車場ができます。食事も、メニューは限られますが、野外「レストラン」の他、随所に天幕カフェが設けられます。上の写真は、大会終了後すぐ会場の片付けを手伝う参加者たち。140年以上の経験の蓄積と参加者のボランティア精神が大会の運営を支えています。来年のSLEYの全国大会はヘルシンキで開催されます。(以上)

 

 

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