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寒い気温でしたが、明るい日射しの土曜日の午後、スオミ教会「家庭料理クラブ」は、ルーネベリ▪ロールケーキを作りました。
最初にお祈りをして始まります。
今回は4組に別れての作業です、レシピの説明を受け、材料の計量をして、軽く柔らかい生地は鉄板に流され、綺麗に焼き上がり、次の作業の巻き込むクリーム作りへ進みます。
完成した4本のロールケーキが冷めるのを待つ間、ヴォイレイパも作りました。
試食会では、楽しいおしゃべりに笑い声が響きました。一段落した頃、パイヴィ先生から、フィンランドの作家で、お菓子の名前にもなっているルーネベリのお話を聞かせて頂きました。
多くの讃美歌も作られたそうで、機会があったら、ぜひ聞かせて頂きたいと思いました。
参加の皆様お疲れ様でした。
フィンランドでは新年が終わったら、次にお祝いの日になるのは2月5日の「ルーネベリの日」です。この日は昔は休日でしたが、今はそうではなく、ただ国旗を掲げるだけの祝日です。それでも新年が終わると、ルーネベリタルトがお店で売られることは変わりません。
ルーネベリとはどんな人だったでしょうか?彼はフィンランドの有名な作家で、1804年に生まれました。詩や小説をたくさん書いて、彼の最も有名な詩「わが祖国」はフィンランドの国歌になりました。また、彼は教会のことも熱心で、60曲近い讃美歌の詩も書きました。今フィンランドの教会で使っている賛美歌の中にはルーネベリが書いた賛美歌がまだ21曲のっています。
お祝いをするのが好きだったルーネベリは、50歳になってから毎年誕生日に大きなお祝いをしました。後に彼の誕生日である2月5日は、彼の記念日としてフィンランド全国で祝われるようになりました。現在は彼の誕生日というよりは、フィンランドの文化の日として祝われます。この日にルーネベリが大好きだったルーネベリタルトがオフィシャルなお祝いの会場でも家庭でも出されます。ルーネベルリは小説や詩だけでなく、ルーネベルリタルトも残したと言うことができます。
ルーネベリは、この甘いお菓子を朝食で食べたくらい大好きだったそうです。このお菓子の始まりについては、いろいろな説があります。ある説によると、ルーネベリタルトはスイスで初めて作られて、そこからフィンランドのルーネベリが住んでいた町に伝わって、町の喫茶店で売られていたということです。ルーネベリはこのお菓子がとても気に入って、よく食べるようになったのが始まりだと言われています。ルーネベリは甘いお菓子が大好きだったので、奥さんのフレディリカもこのお菓子を作ったそうです。
現在、ルーネベリタルトのレシピはいろいろありますが、一番オーソドックスなものは、形が円筒形で、上にのせるジャムはラズベリージャムです。面白いレシピの一つは、生地にピパルカックを入れるものです。クリスマスの期間に食べきれなかったピパルカックをつぶして生地の中に入れて、それで美味しいものが出来るのは素晴らしいことと思います。しかし最近の家庭はピパルカックを昔ほど沢山作らないので、つぶしたピパルカックの代わりにピパルカックのスパイスを入れるようになりました。今日皆さんと一緒に作ったロールケーキはそれです。ロールケーキにはつぶしたピパルカックを使わないで、形もロールケーキですので、新しいタイプのルーネベリのお菓子になりました。
このようにルーネベリタルトはいろいろ変わったバージョンが出来ますが、ルーネベリが書いた詩の中で、時代が変わっても変わらない宝物のことを言っているものがあります。その詩は賛美歌にもなりました(賛美歌183 「On meillä aarre verraton」フィンランド語で聴く)。それを紹介したく思います。この賛美歌は長くて7節までありますが、最初の1節だけを訳して紹介します。
「私たちは宝物を持っている。それは他のものと比べることが出来ない宝物。金よりも価値がある宝物。この宝物を前にしたら宝石など、ただの土のよう。この偉大な宝物は、天の神様がご自分のもとから送って下さる御言葉だ。御言葉を神様は宝物として私たちに与えて下さった。」
この賛美歌はルーネベリが書いた賛美歌の中で最も有名で、最も美しい賛美歌と言われています。この賛美歌で歌われている宝物とは何でしょうか?それはいつまでも永遠に変わらない、神様の御言葉です。ルーネベリは天国に属する御言葉と地上に属する金と宝石を比べます。金と宝石はこの地上がある時だけ存在します。神様の御言葉はこの地上がある時だけでなく、それを超えて天国にまで存在します。このように神様の御言葉は、金や宝石よりも永遠に続くので、それらよりも高い価値があるのです。そして、もう一つ大事なポイントは、神様の御言葉はある限られた人たちに与えられるのではなく、世界中の人たちに与えられる宝物であるということです。
どうして、神様の御言葉は私たちにとって最も高価なものでしょうか?それは、私たちが天と地そして人間を造られた神様のことを知ることができる言葉だからです。聖書を読んだり聞いたりすると、私たちは神様やその独り子イエス様を知ることが出来ます。小教理問答というルターが書いたキリスト教の入門の本があります。フィンランド語でKatekismusと言います。そこで、神様の独り子イエス様を信じて受け入れると神様の子供になれる、それが人生で最も高価なことであると言われています。ルーネベリが書いた賛美歌の意味はとても深いと思います。ルーネベリタルトを食べたり、ルーネベリの名前を聞いたりする時は、この賛美歌の深い意味を思い出しましょう。