宣教師の週報コラム  「恵み」という言葉について

ギリシャ語のカリスの日本語訳「恵み」という言葉は、父なるみ神や主イエス様を言い表す時に最も使われる言葉の一つです。それは一体何を意味するのでしょうか?

フィンランドやスウェーデンで教会生活を送った者として、日本語の「恵み」には違和感があります。意味がとても広すぎるからです。フィンランド語やスウェーデン語の「恵み」に相当する言葉アルモ、ノードは、罪や過失を帳消しにする赦しを意味する言葉から派生しています。それなので、二国の言葉では「恵み」は、神からいただく罪の赦しのお恵みという意味が強く出ます。例えば、日本語で「自然の恵み」などと言いますが、フィンランド語とスウェーデン語のアルモやノードを使ってそんな言い方はできません。また、長い日照りの後に雨が降ると、日本では「恵みの雨」とか言って神に感謝しますが、そういう言い方は考えられません。

アーロンの祝福で「主があなたを恵まれるように」と言いますが、フィンランド語やスウェーデン語では「主があなたに赦しを与えて下さる方でありますように」という言い方をします。

日本語の「恵み」の意味は広すぎるだけでなく、意味をはっきりさせずに乱発していると思います。例えば、第二コリント6章の有名な聖句「恵みの時に私はあなたの願いを聞き入れた。今や、恵みの時、」。正しくは「私の心に適う時に」です。ギリシャ語原文には、カリスはありません。

パウロが手紙でよく使う挨拶言葉、「神と主イエス・キリストから『恵み』と『平和』があなたがたにあるように」はどうでしょうか?物心双方不足ない位に恵まれて平和な世界で暮らせますように、ということでしょうか?そうではありません。神から、罪の赦しのお恵みと、赦されたことで神と平和な関係を築けたこと、これらが失われないように、という意味です。

新規の投稿
  • 2025年9月21日(日)聖霊降臨後第15主日 礼拝
    司式 吉村博明 牧師 説教 木村長政 名誉牧師(日本福音ルーテル教会) 聖書日課 アモス8章4~7節、第一テモテ2章1~7節、ルカ16章1~13節 説教題 「不正な管理人のたとえ」 讃美歌 175、306、318、262、456 特別の祈り 全知全能の父なるみ神よ。 […もっと見る]
  • 歳時記
    葛の花(kuzu no hana) 〈わたしは季節にしたがって、あなたがたの地に雨、先の雨と後の雨を与えよう。あなたは、あなたの穀物と新しいぶどう酒と油を集めよう。 申命記11章14節〉 […もっと見る]
  • スオミ教会 手芸クラブのご案内
    秋の手芸クラブは9月24日(水)10時~13時に開催します。 フィンランド風の刺繍を作ってみませんか。 刺繡はフィンランドで何世紀にもわたって親しまれている手芸の一つです。今でも多くの人気があります。小さなクロスステッチで作った花などの模様は服やインテリアに可愛らしい趣きを増やします。 今度はクロステージのテクニックを使って刺繡をします。 […もっと見る]
  • スオミ教会フィンランド語クラスのご案内
  • 歳時記
    お花畑 <「人はみな草のよう。その栄えはみな野の花のようだ。主の息吹がその上に吹くと、草はしおれ、花は散る。まことに民は草だ。草はしおれ、花は散る。しかし、私たちの神のことばは永遠に立つ」(イザヤ40:6〜8) > […もっと見る]