歳時記

ホトトギス

28 また、なぜ、着物のことで思いわずらうのか。野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。29  しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。 マタイ62829

路傍の花壇にホトトギスが咲いていました、ユリ科のこの花は殆どが日本固有種です。一見地味な花ですがよく見ると小紋交じりの味わいの深い色をしています。江戸時代の町民文化に粋と言う言葉があります、奢侈禁止令により着物に関して庶民が身につけられるものには、柄や色、生地まで細かく厳しい規制がされおり、生地素材は「麻」「綿」、色は「茶色」「鼠色」「藍色」のみと限定されていました。しかし、「他の人とは違うものを着たい」という欲求は今も昔も変わず、色の中に微妙な色調を生みだし楽しむ日本人ならではの美意識から「四十八茶百鼠」などの落ち着いた渋い色がたくさん生まれました。一見地味に見えながらもよく見るとおしゃれと言うのが江戸文化の粋でした、ホトトギスはそんな粋の感じがする花だと思います。

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