牧師の週報コラム

 ルターの聖句の説き明かし(フィンランドの聖書日課 「神の子らへのマンナ」4月17日の日課

「その一人の方は全ての人のために死んでくださった。その目的は、生きている人たちが、もはや自分自身のために生きるのではなく、自分たちのために死んで復活してくださった方のために生きることなのです。」(第二コリント5章15節)

『自分の益のために生きる生き方は呪われよ!神から頂いた賜物が大きなものであると気づけば気づくほど、我々は自分を低い者へと自らヘリ下させて他者に仕えることができるようにしなければならない。正しいキリスト信仰者は、キリストが行ったように全ての人に仕え、神から頂いた賜物のゆえに偉ぶるということがなく、他者を見下すことをしない者である。しかし、我々は、死ねばミミズの餌にしかなれない惨めな存在でありながら、与えられた賜物がちっぽけなものだったら動転して、自分たちこそ仕えられなければならないと騒ぎ立てるだろう。つまり、全ての人は自分たちに仕えなければならないのであって、自分たちは仕えなくていいというのだ。

 他者に仕えて助けてあげるというのはキリスト信仰者にとって自然なことである。たとえ我々が神の召しによって社会的に高い地位につけ名望を博そうとも、生き方自体は他者の益を中心にしなければならない。高い地位につければつけるほど、それに応じて自分を一層低くし他者の益の増進に務めなければならない。

 神も、ひとり子イエス・キリストを通して、我々を罪と死と悪魔と地獄とあらゆる不運から救い出して、我々の上に恵みを豊かに注いで下さったのだ。この恵みのゆえに我々は、律法を守らないとこれらのものから救い出してもらえないという律法主義を脱することができたのだ。神が先手を打って我々を一方的に救い出して下さったからだ。恵みを通してお与えになった賜物に関して神が我々に求めているのは、神が我々に対して振る舞ったように隣人に対して振る舞いなさいということに他ならない。』

「神が我々に対して振る舞ったように隣人に対して振る舞え」というのは普通、神が私たちの罪を赦されたのだから、私たちも互いに赦さなければならないと理解されると思います。しかし、もっと深いことがあります。神がイエス様を通して確立した「罪と死と悪魔と地獄とあらゆる不運からの救い出し」を隣人に及ぼすことがそれです。つまり、キリスト信仰者が「罪の赦しの恵み」に留まれるように励まし支えること、そして、まだ恵みの外にいる人たちをそこに導いてあげることです。

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